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お子さまの絵本について

ポイント
お子さまの絵を見るポイント
年齢にふさわしい活動は子どもにとって一番大事なことです。
形にならない時は「上手ね」と言ってしまいがちですが,「てんてん,いっぱいね」というような,やった行為を認める言葉が大事です。
形が少しでも描けると「何描いたの」と聞いてしまいまいがちですが,「たくさんマル,描けたね」と認めると「これね○○なの」と教えてくれます。
絵を通して子どもとお話上手になりましょう。
以下の図は①から順番に育っていく段階の描画表現です。
どの子どもも同じ道をたどりますが,子どもによって描く時期が違います。
特徴
幼児画の発達の順序性

偶発的スクリブル

痕跡を初めて体験,その驚きに共感しましょう。「何描いたの」より行為を認めましょう。

意図的スクリブル

描けるおもしろさを知って,積極的に手を動かします。いろいろな材料に挑戦できる環境が,意欲的な子どもに育てます。

意味付けスクリブル

描きながらイメージしたことを言葉にします。目の前にないことをイメージできます。

円の獲得

円は人間しか描けない図形です。③のようなスクリブルを描きながら,左のような閉じた形を獲得していき,やがて独立した円を描きます。お話もいっぱいします。

頭足の表現

世界中の子どもが教えられてもいないのに描く人物です。一人一人の成長で描き始めが違います。大好きな人を描くので子どもの気持ちが見えます。

人の表現

子どもたちが描く人間は,大人の表現とかなり異なります。首を描くのは6歳過ぎです。「手や足はこうやって描くの」という指導より,子どもの興味関心に呼応した会話こそ,子どもの主体性を育てます。
特徴
幼児画の発達の特徴
この時期になると自分の知っていることや願望を最も説明しやすい方法で表すようになり、一定の秩序・図式をもって配列されるようになります。
その他にも拡大表現といって,興味関心が高いものを大きく描くことがよくあります。
大人は客観的な大きさの比較を基準にしていますが,子どもたちは自分が好きなもの,気になっていることを大きく描くので,子どもの気持ちを理解しやすい方法です。
「絵はこころをのぞくメガネ」とも言われています。

このような特徴のある表現を、すべての絵本で見ることができます。
「これはニミズム(擬人化)だね!」「ここはレントゲン表現!!」
と子どもの絵を読み取っていただければ、嬉しく思います。

参考文献:「すべての感覚を駆使してわかる 乳幼児の造形表現」 平田智久/小野 和 編集、教育情報出版